IT重説ってなに?契約の仕組みを解説!
公開日:2024/10/25
「IT重説」と聞いても、よくわからない方のほうが多いと思います。
かんたんに言うと、オンラインで重要事項説明(略称=重説)をすることです。
通信環境が整っていればどこからでも実施可能なため、お客様は不動産会社に来店する必要はありません。
この記事を読めば、IT重説についてしっかり理解できますよ!
はじめに概要を説明し、次にメリット・デメリット、注意点などを解説します。
IT重説とは?
IT重説とは、重要事項説明をパソコンやスマホなどを使用しオンラインで行うことです。
対面と同様、オンライン上で質疑応答することもできます。
2017年10月1日から賃貸借契約のみで開始され、2021年3月30日からは売買契約でも認められるようになりました。
IT重説をするのに特別な許可は必要なく、国土交通省のガイドラインに沿っていればすべての不動産会社で行えます。
参考資料:ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について 国土交通省
IT重説の定義と背景
オンラインで重要事項説明をするIT重説が開始されたのには、次のような背景があります。
2015年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」をきっかけに、対面や書面交付による手続きのIT化を促進する動きが高まったからです。
2020年1月に国内で初めて確認された「新型コロナウイルス感染症」の拡大も、IT重説が普及するきっかけになりました。
手続きの流れ
IT重説の流れは以下のようになります。
1.重要事項説明書類を受け取る
2.通信状態の確認
3.宅地建物取引士より重要事項説明を受ける
4.書類に署名、捺印して返送
重要事項説明書類を受け取る
不動産会社から郵送されてくる重要事項説明書類、または電子メールで送付される書類を受け取ります。
書類が届いたら開封し確認します。
不明点があれば不動産会社の担当者に質問しましょう。
通信状態の確認
IT重説を受ける日時になったら、パソコンやスマホの通信状態を確認します。
通信状態に問題があるときは担当者に連絡してください。
また「Zoom」や「Google Meet」など、使用するツールは不動産会社によって異なります。
指示に従い予定時刻に備えましょう。
宅地建物取引士より重要事項説明を受ける
予定時刻になったら宅建士より重要事項説明を受けます。
宅建士は重要事項説明をする際、「宅地建物取引士証」を提示する義務があります。
画面上で氏名、登録番号を確認してください。
顧客側も本人確認されるので身分証明書を準備します。
重説が終わるとそのまま契約に移ることが多いです。
書類に署名、捺印して返送
重要事項説明に問題がなければ署名、捺印します。
間違えてしまったときは二重線を引き、訂正印を押してください。
できたら返送用の封筒に入れて郵送しましょう。
住民票や印鑑証明書のコピー、収入証明が必要な場合もあるので、郵送する前に確認するのを忘れずに。
IT重説のメリット・デメリット
続いて、IT重説のメリット・デメリットを解説します。
メリット
IT重説のメリットは3つあります。
・どこからでも重説が受けられる
・日程調整しやすい
・動画で記録に残せる
どこからでも重説が受けられる
IT重説はオンラインで実施するため、通信環境が整っていれば世界中どこからでも重説が受けられます。
従来の重説は不動産会社まで行き、対面で行う必要がありました。
近くにお住まいであれば時間も費用もさほどかかりませんが、遠方の方は大変ですよね。
IT重説を利用することで、時間や費用を大幅に節約できるのは大きなメリットです。
日程調整しやすい
IT重説を利用すると日程調整しやすくなります。
お客様が不動産会社に訪問する必要がないからです。
また重要事項説明は宅地建物取引士の資格保有者しかできないため、宅建士のスケジュール調整も必要でしたが、これも容易になります。
お客様と宅建士、双方にとって日程調整がしやすくなります。
動画で記録に残せる
IT重説はオンラインミーティングツールを使用するため、録画機能が付いています。
重説を録画することで「聞いていない」「説明した」などのトラブルが回避可能です。
退去時、「修繕費用」や「敷金の返還」を巡るトラブルは少なくありません。
責任の所在をハッキリさせるためにも、重説の録画は有効です。
とはいえ、重説の録画は原則として双方の合意が必要になります。
どうしても録画されたくないのであれば、対面の重説にしましょう。
デメリット
デメリットは以下3つです。
対策もあわせて解説するので参考にしてください。
・通信環境に左右される
・雰囲気に呑まれやすくなる
・注意力散漫になる可能性
通信環境に左右される
IT重説はオンラインで実施する以上、通信環境に左右されます。
通信環境が悪いと画面がフリーズしたり、音声が途切れてしまうなど支障をきたします。
頻繁に通信障害が発生すると重説は円滑に進みません。
集中力も途切れ、内容が頭に入ってこなくなるでしょう。
自宅の通信環境が悪いときは、安定した通信環境のある場所へ移動することをおすすめします。
雰囲気に呑まれやすくなる
日常的にオンライン会議などしない方は、雰囲気に呑まれてしまうかもしれません。
雰囲気に呑まれると、萎縮してしまい思うようにコミュニケーションを図れないことも。
画面越しで話をするため、表情や雰囲気から心の機微を感じることが難しくなるのが原因です。
重説を聞いているときは、無理に会話しようとせず不明点を箇条書きでまとめておくといいですよ。
最後にまとめて質問しましょう。
注意力散漫になる可能性
対面での重説とは違い、IT重説は自宅で受けられるため注意力散漫になる可能性があります。
スマホやテレビを見ながら説明を聞けるからです。
注意力を欠いた状態で重説を受けると、いざというときに「そんな話は聞いていない」など、後々トラブルに発展するかもしれません。
IT重説の始まる前に、スマホやテレビの電源はOFFにしておきましょう。
IT重説と対面説明の違い
「IT重説」と「対面説明」の違いは、借主が不動産会社へ訪問するか、しないかです。
対面説明
従来の重要事項説明です。
借主は不動産会社へ訪問し、宅地建物取引士より直接説明を受けます。
重説の際、宅建士は借主に対し「宅地建物取引士証」を提示する必要があります。
IT重説
パソコンやスマホ、タブレットを使用し、オンラインで実施する重要事項説明です。
通信環境が整っていれば、どこからでも受けられます。
そのため、借主は不動産会社へ訪問する必要はありません。
どんな人におすすめ?
IT重説は以下のような人におすすめです。
・遠方に住んでおり、不動産会社へ行くのが大変
・仕事が忙しくて時間が取れない
・子どもが小さいので外出は控えたい
・不動産会社へ行くのがめんどう
・重説の様子を記録しておきたい
何らかの理由から不動産会社へ訪問できない人におすすめです。
移動時間や交通費などのコストも省けます。
またオンラインのため、動画を録画できます。
「トラブルを防ぐためにも重説の様子を録画しておきたい」という人にも最適です。
IT重説をするための準備と注意点
最後に、IT重説をするための準備と注意点をまとめておきます。
重説をスムーズに進行するためにも、目を通しておきましょう。
必要なもの
借主が準備しておくものは以下3点です。
・安定した通信環境
・重要事項説明書
・身分証明書
とくに安定した通信環境は重要。
通信環境が不安定な状態だと、画面がフリーズしたり音声が途切れてしまいます。
重要な説明を聞き逃したことが原因で、後々トラブルになってしまう可能性も。
IT重説が始まる前に通信状態を確認しておきましょう。
注意点
IT重説の注意点は3つあります。
・宅地建物取引士証を確認する
・カメラ・マイクはOFFにできない
・不明点はしっかり質問する
重説できるのは宅地建物取引士のみです。
スタッフが「宅地建物取引士証」を提示しているか確認しましょう。
またIT重説の際、パソコンやスマホのカメラ・マイクはOFFにできません。
IT重説のガイドラインで「映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ること」と定められているからです。
不明点があるときはわかるまで質問してください。
内容を理解しないまま契約すると、後々トラブルに発展する可能性もあります。
参考資料:ITを活用した重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン概要 国土交通省
まとめ
IT重説を活用すれば、不動産会社へ訪問する必要もありません。
移動時間や交通費をかけずに済むので、積極的に活用したいところです。
一方、安定した通信環境の準備が必要であったり、対面よりコミュニケーションがとりにくいといったデメリットもあります。
IT重説を希望するときは、デメリットを踏まえ万全の準備で臨みましょう。